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春ノ読書、其ノ三
今や私は日本語における“耽美”という言葉があまり好きではないし
使いたくないのだけれど
この小説には“美しいものに耽る”という漢字の正当な意味だけを込めた
この言葉を捧げたいと思うくらい、うっとりと読み続けました。
こんなにも美しい禁忌の双子のお話って他にあるかしら!
2008年にこの日記が解説されて間もない頃に、
この方の「ヘルマフロディテの体温」という最初の小説を
紹介しているのですが
そのときも「うっとり読んだ」と書いてある(笑)。
つまりは遙か乙女の季節からいままでずっと変わらず体内に流れる
aestheticismな血に入り込んで語りかけられる物語であるということ。
私たちにはそれが一生必要なわけです。
そしてこの本は、美しいだけでなく、
ナポリとブエノスアイリスを舞台に
芸術、治癒絵画、架空の神話、血と魂の繋がりが描かれる
迷宮のような物語です。
今も昔も少女貴族のみなさんへ。
「ディオニュソスの蛹」小島てるみ ¥1,800 東京創元社
素敵なお葉書と共にGrazie mille!