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しあわせのコートールド美術館展
この秋はいろいろと興味深い美術展が。
岸田劉生展は、大阪公演からの帰りの新幹線降りて行きました。
デューラー風の麗子像がとてもよかった。
(麗子QPがあった…)
うっとり優美なリヒテンシュタイン展は、
最後の部屋で、あぁこの絵が欲しい欲しい欲しい、
と頭がいっぱいになって終わりました。。
せめてポスターを作って下さればいいのに。
もしくは広告用のあのポスター、売って下さいませよ…。
さて次はハプスブルグ展。
ゴッホ展は、混んでたら行かない。
あと、木乃伊好きとしてはミイラ展も行きたし。
でもでも、今年行った展覧会の中で、
私が最もよかったもの、いちばん愉しかったもの、
何よりも心躍ったもの
それは、それは、「コートールド美術館展」でありました。
松方コレクションももちろん素晴らしいのですが
例えば画廊の絵を丸ごと全部買い、というのではなく、
自分の好きな絵を探し買い求め
自分の邸宅の部屋に飾って楽しんだコートールド氏。
英国紳士の、その審美眼。
モネもマネもルノワールもセザンヌも、
とても有名で、好きな人は世界中にたくさんいるでしょう。
私もずっとそうだし、あなたもそうかもしれません。
でもこのコレクションを見ると、もっともっと彼らの絵が好きになる。
あぁ自分はこんなにもこの画家が大好きだったんだ、と気づく……。
ほんとうにそんな絵が、
この「コートールド美術館展」には延々並んでいるのです。
絵画とは芸術とは、絶対的に美しいもの。
世界には本当に様々な美しい絵があるし
人それぞれ感じる美も違うだろうし
異端の美も、また最たる美ではあるし
私も「陶酔ビブリオテック」ならぬ「陶酔美術館」に
いろんな絵をたくさん仕舞ってきました。
でもここにきて、なぜこんなに印象派に惹かれるのか、
わかった気がします。
それはそれらの絵が、
“人生は美しい”
と言っているからなのです。
室内のアトリエから戸外へ出た画家たち。
印象派の絵は、光と色で描かれています。
木々、そよぐ緑、花々、水面の反映、山も空も、建物も橋も
人の肌、衣服の生地、花瓶も窓も、室内の装飾も、
あらゆるモチーフが、光の色彩で描かれる。
光というのは日の光だとずっと普通に思っていたけれど、
もちろんそうなのだけど、
ああ本当の光は、画家の目なのだわ。
画家の瞳が、光の源。
(絵描きの眼差しって、鷲のように鋭いけれど)
画家を捕らえた風景、画家が捕らえた風景。
われわれが生きる世界は美しさに満ちている!
そう、人生は美しい。
生きよ、でも、生きねばならない、でもなく
生きましょう、と歌ってくれるような、
コートールド夫妻の幸せのコレクション。
氏の邸宅に招かれ、案内してもらっているかのような展示も
とてもよかったです。
三周しちゃったもんね。
はぁ…思い出しても幸せな気持ちになる。
画集とポスターは、
いまもセザンヌを師と仰ぐ老女流画家の母へのおみやげ!
セザンヌ先生の「トランプをする人々」は、完璧、なんだそうです。
「最後の美術館」の歌詞も良いけれど
まだ絵画ものの歌詞は書けそうな気がする。
とびきり幸福感満ちる歌。
黒々とした歌を作ったあとになら、作りたい、かも。
「コートールド美術館展 魅惑の印象派」
東京都美術館 〜12月15日