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2019.05.28「キスリング展 エコール・ド・パリの夢」

子供の頃、両親に連れられてよく訪れた画家の家の、
吹き抜けのアトリエの天井近くに貼られていたキスリングの少年の肖像画のポスター。
その美しく物憂い表情にどんなにか、幼い私の詩心はかき立てられたことか。
というのがキスリングとの出会いではあったけれど、
それがなくとも私の心は、この画家の絵に惹かれたことでしょう。
 
というわけで、東京都庭園美術館のキスリング展に。
本館では、風景画、静物画、肖像画がアールヌーボーの館内の、
それぞれ相応しい部屋に選び並べたような細やかさも感じられ、
新館の方では広々と展示、1920年代のパリの写真のパネルもあったり、
懐かしくもモダンな雰囲気の中でキスリングを見られる、
とても良い展覧会でした。
 
「キスリングの世界 華麗なるメランコリー」のトークショーも申し込んでいたので拝聴。
お話されたのは監修者でもある村上哲さん、聞き手は美術ブロガーの中村剛士さん。
あら、村上さんは同郷、そして熊本県立美術館の方ではないの!
キスリングの人となり、エコール・ド・パリについて、
若いときから成功し家族にも恵まれた幸せな人生であったのに、
その絵が湛える歓びの中にメランコリー(憂い)が垣間見えるのはどうしてか、
ということなどを、大変魅力的にお話しされていて、
私には画家の人生を肌で感じたような90分でした。
すっかりファンになってしまったわ。同じくまもんですし(笑)。
 
 キスリングはポーランド生まれのユダヤ人、エコール・ド・パリの画家の中では年下で、
 でも面倒見がよく、早くから成功して裕福。
 フランス人になりたくてユダヤ名を名乗らなかったのに、
 第二次世界大戦の時にはナチスに対抗運動を行ってアメリカに亡命。
 フランス帰還後はパリと南仏のアトリエで制作。サゼンヌ、ルソー、アングルの影響。
 62歳のときの展覧会期間中に亡くなる。

 
村上さんによると、キスリングの色彩感覚はポーランドの民族衣装からきているのではないかとのこと。
フランス人になりたくても己の血を忘れることはできなかった、ということでしょ。
そこがぐっとくるではないですか。
私が子供心に惹かれたのも、美少年の眼差しだけではなかったということね!(笑)
なんて思ったりしたのでした。
(今回は例の少年の絵はなかったけれど、別の少年の肖像画がありました)
 
7月7日まで開催しています。
元は旧朝香宮邸だった東京都庭園美術館は館内そのものも、
お庭も素敵なので初夏の頃は特にオススメ。
 
 
上野ではクリムト展やっていますね。
私は時間があれば行こうかなという感じ(たぶんない)。
でも汐留の「ギュスターブ・モロー展」はもう行ったの。
次また書きます。
 


 

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