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倒れ死すべきその葉かげ

2020.10.09 2020

去年の今頃も同じように台風で、「Fantasia」東京公演が危ぶまれ、
それでも練習スタジオに通いながら祈るような気持ちでいたことを思い出します。
今年もこの土曜日だったら延期だったかも!
 
「Fantasia」は今年の一月に延期公演ができたけれど
ものすごく前のことみたいに感じる・・・。
 
ライブ配信はよいところも多々あるけれど
やはり会場で二度とない同じ時間を共有し共鳴しあいたい。
コンサートは生であるべきだと思います。
お客さんと一体となって騒ぐわけではないけれど
だからこそ?余計そう感じるのかも。
 
・・・・
 
この時期、SNSには流行みたいに曼珠沙華の写真が多くあげられます。
私は実物を見たいわ。
でも群生地帯にはいまだ訪れたことなく・・。
写真が趣味の弟の(すごく上手なのよ)、毎年撮っているのをみせてもらって、満足しちゃう。
 
子供の頃の熊本時代、
道ばたに咲いている朱いヒガンバナが好きでした。
幼稚園からの帰り道とか、ともだちの家から帰る夕暮れ時とか。
(ちょうど藤崎宮のあたり)
あと鶏頭。いつも思い出す永井荷風「濹東奇譚」の中のこの一節。

 君とわかれしわが身ひとり
 倒れ死すべき鶏頭の一茎と
 ならびて立てる心はいかに
 
最近は(今年は特に)いろんな色の鶏頭が売っていて、
茎からインクを吸い上げさせた青とか一瞬キレイって思うけど、
いんちき手品めいていて買う気にはならないのよね・・。
花束の中にあったら素敵でしょうけど。
 
そんなわけで、どこかの道ばたの、ヒガンバナ。
そのままの形で枯れていく様が幽玄、
というか、骨と皮の執念の幽霊みたいで
ほんとうに美しいわ。
大人になってもずっと好きな花ね。