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特筆すべきmes lectures d’automne

2022.11.20 2022

「怪談」ラフカディオ・ハーン:著/円城 塔 :翻訳 (KDAKAWA)
小泉八雲は熊本にもいたことがあるのでそれだけで親近感があるし、
その和名が素敵だなぁと思って、昔から好きなのです。
小泉八雲の名を知った10代の頃は外国人というのを最初知らなかったけど笑。
そのラフカディオ・ハーンの「KWAIDAN」をかの円城塔さんが直訳。
誰もが知っている「耳なし芳一」をはじめ、
わたしが子供の頃、曾祖母から繰り返し聴いた「むじな」の話
(熊本城の石段が舞台でした…恐かった……)など、馴染のある怪談が、
円城さんの清冽な文章で再び耳に注がれます。
外国の人がこのJAPANの魔物語を読んだときの感覚に近いのではないかしら、と思える訳文。
八雲が伝えようとした、昔々の日本にだけあった本当の闇を、見ることができます。ホントウニ!
装幀も美しい。
ハーンもきっと喜んでおられるのではないでしょうか。


「アナベル・リイ」小池真理子 (KADOKAWA)
小池真理子さんの新刊はいつも速攻読みます!
大抵、一気に読んでしまうことが多い。
だって、読んでいると現実に戻りたくなくなる100%、の読書なんだもの。
この方の小説は特に。いつだって。
「アナベル・リイ」はねぇ、、、とっても怖かった。怖くて切なくて、
というありふれたことしか言えないくらい
いつものことながら主人公と同化してしまいました。
これぞ読書の醍醐味です。幸せです。

好きな小説家が新しい作品を届けてくれるたびに、
またひとつの人生を送ることができる。
またひとつの夢を過ごすことができる。
そう、本のない人生は考えられない。

(できうれば新しい一曲も
 誰かに、別の人生を、新しいひとつの夢を、
 見せることができればいいなあ)


「エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ 」深水黎一郎(講談社文庫)
個人的Facebookの美術展関係のトピックに出てきた深水黎一郎さんの「エコール・ド・パリ殺人事件」という本。えっ、小説?えっ、ミステリー?
き、気になるではありませんか!
ということで早速Kindle読みしてみました。
数ページで、えっ、この作家、凄くない?!
ということで一気に陥落。
なんという豊富なる知識でしょう!!
美術好きならハマること請け合い。
さらに、登場人物たちが個性豊かで魅力満載。
引き続き「大べし見警部」シリーズを読んだり、他のものも読んだりしています。
当分読むものに困らないわ。


「バレエ・メカニック」津原泰水(早川書房)
そして津原泰水さん。。
わたしこの方、好きでした。
1999年に読んだ「蘆屋家の崩壊」はMy一生大事にしたい本の一冊だし、
「ピカルディの薔薇」はもうとてつもなく好きだし、
「たまさか人形堂シリーズ」は、地方にいる人形好きの友とメールでいつも語り合ったし、
金子國義氏の装幀も多くて、必ず手に取っていました。
お会いしたことはなかったのだけど、知人で親しい方がいて、
名前入りのサイン本を数冊いただいたりしていました。
先月訃報を聞き、密かに喪に服したMa陶酔bibliothèqueです。
寂しい。
(「蘆屋家の崩壊、Kindle化されたらいいな…)


「坂の上の雲」司馬遼太郎(文藝春秋)
歴女のレの字もないわたしが今さらハマる司馬遼太郎!?
なんだかものすごくおもしろくて、明治時代にいますなう笑。
明治の少年に生まれたかった。
もうね、昭和恋々とか、大正撫子とか言ってる場合でないよ。
これに関しては、
つづく。
です笑。