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2014.03.22春ノ読書 其ノ一

もう春休み?
四月から新しい生活が待っている人もたくさんいることでしょう。

そんな忙しくも心浮き足出す、まだ浅き春の一日の終わりに読書はいかが?
「春ノ読書其ノ一」は寝入りに読むにはもってこいのご本をご紹介。


  田辺青蛙「あめだま 青蛙モノノケ語り」青土社 ¥1,600(税別)


ほんの短いお話なのに、どれも余韻が残るというか
自分の前に半円形の波紋がゾォって広がってゆくみたい。

例えばルドンの絵を観ているようであったり、
内田百閒先生の棲む町の外れにある小径を歩いているようであったり
草いきれに隠れた見知らぬ花の朽ちた匂いのようであったり
小さな頃に無くしてそのままになっていたものだったり
舌で蕩けるあめだまは、少しあの世の味がする。

この作家は京都に棲んで、私たちが見えないものや見たかったものや
解りたかったもの知りたくなかったもの様々なモノを、
小さな蛙になって見つけてきて
そっと教えてくれているのかもと思ってしまう。

そんな不思議で怖くて、ゆるやかな、切なく嬉しい掌編集です。
ぜひお読みになってみて。
夜でもいいけど、白昼の列車の中なんかなおよろしい感じ。

数年前、ある知人の結婚パーティー会場でいきなり突然
「あ、あの、その指輪、見せてもらえませんか」と声を掛けられ、
その時は私は深い緑色の小さなエメラルドがぎっしり詰まって指に絡みつく
かなり大きな蛙の指輪をしていて
その若い女の人の目はそれに釘付けになったまま
「わたし、カエル、好きなんです。名前にも蛙が付いてるんです」。

日本ホラー大賞短編賞受賞作の「生き屏風」も読んでいて、
その作家がアリプロをお聴きだというのも人づてに聞いて知っていたので、
あ、この方は田辺青蛙さんだわと思い、嬉々として名乗ったのだけれど
「はぁ」というだけで延々蛙から目を離さない。

というのがこの作家との出会い(笑)。

いつも大阪公演のときは不思議なご友人たちを伴って
来てくださるのです。


写真は、本に同封されていたあめだまのような可愛い手鞠と
京都より無言のまま届いた幽霊子育飴。黄金色の飴の破片。


 

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