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「楽園のカンヴァス」

2012.07.24 2012

昔はいろんな小説を、たとえつまらなくても読み通したものでしたが
最近はこれは!と思えるモノしか完読できなくなりました。
気づいたら読み終わっている、くらいの勢いのある面白さとか興味深さがないと。
それとうっとり感ね。このうっとり感はもはや
私は自分の歌の中でしか見出せなくなってしまったような気がして
かつての耽溺読書生活が恋しいです。
昔好きだった本は今も同じに好きで、何度読んでもうっとりするのですが。
私の血を滾らせてくださる新しい小説家はいないのでせうか。
それを探し求めて本屋を彷徨う、といった感じです。
ああ、赤江瀑も亡くなってしまったし…………。

うっとり感はなくとも、おもしろい小説は読みますけどね。
そこらへんは昔より多い気がします。
エンタテインメント、です。
ヘタな映画よりずっと楽しい。

今日は今年前半の中で、もっとも面白かった本を紹介。
賞も獲られたようで、蔦屋にも平積みで置かれていました。

「楽園のカンヴァス」原田マハ

“それは真っ赤な贋作か、志向の名品か?”
「贋作師」をお聴きの今ならタイムリー!
こんなにわくわくどきどきする贋作?の話もありません。
だって、スイスのお屋敷に隠された幻の絵画、
しかも、アンリ・ルソー!!
その絵は本物か偽物か。判定を任されたMoMAの学芸員と
元美術研究者の日本人女性。
その真偽はいかに!
いったいどうなるの!

この作家の他の著書は、わりと恋愛小説で、
残念ながら私の趣味ではないのだけど
この小説はほんと傑作です。素晴らしい!

夏の読書にぜひ!