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Bonnard、heureux

2018.12.17 2018

好きな画家は?と訊かれたら咄嗟にルドン、フジタ、バルテュスと答えるけれど、
ロセッティなどのラファエロ前派もヤン・ブリューゲルのようなオランダ絵画も好きだし、
ルーベンスやベラスケス、はたまた暁斎や狩野探幽、とも言いたくなるし……。
 
でも、ふと、ああいいな……と見るのは、実は何故かマティスの油絵だったりして(……)、
なので室内や窓の向こうに見える景色を描いた美しい色彩のボナールの絵にも同様に、
素直に素直に安らぎます。。
ものすごく強烈に感じたり、掻き乱されたり、涙があふれそうになったり、
イメージがどんどんふくらんだり、そんなふうに見ることのない心平穏な芸術。
本来絵画とは、幸せであるべきだと思う今日この頃。
 
ボナールは、浴槽の妻をたくさん描いていて、妻マルトは病弱だったり、
ボナールの恋人は自殺したり、どんな画家も人間くさい人間であるからこそ
美しいものを生み出す、というふうに私は思うけれど。
画家の人となりやその背景を知れば、絵の見方が広がり深まるとはいっても、
何の先入観なしで見る方がいいんじゃない? その裏にある葛藤や
暗がりなんて知らなくてもいいじゃない、と思う今日この頃。(笑)
 
というか、どんな人でも、どんなに永く生きても
心のほんの僅かな一部、純粋なまま残っている部分があって、
そこにそっと触れられた瞬間の、そこで感じる瞬間の
まったく素のままの“ 至福の個人的幸福感”。
それがあるから生きていられるのだわ。
と、
ボナール先生の絵の前に佇んだ私でありました。
残されている画家の生活映像も、訳も無く(本当はあるけど)
懐かしいものでした。
 
 
でも本来の私に戻れば、誰かの心の片隅に触れるべく
指先を研ぎ澄まさなければと思ったり。
 お互いの“ 至福の個人的幸福感”の為に。
 
 
ピエール・ボナール展、
1月までやっていると思ってたら今日までだったのね・・・。