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「日本美術の裏の裏」を観るの巻

2020.10.05 2020

ようやく窓から金木犀の香りが、風に運ばれて届くようになりました。
このなんとも言えぬ陶酔の秋の数日間。
春よりも幸福感は切なさを伴い、胸に染み入ります。
 
ベランダーの朝顔は、夏よりもさら賑わいを増し
鈴木其一のような青い朝顔がいくつも開いているので
あ、そうだ、リニューアルしたサントリー美術館でやっている
「日本美術の裏の裏」を、観に行ってこようと思い立ち、
散歩方々出掛けてきました。
 
「日本美術の裏の裏」展は、「生活の中の美の“愉しみ方”に焦点をあて」るということで、
いつもとは違う視点で観て感じることのできる展覧会です。
 
“古の人々の愉しみ方を知り、追体験することは、現代人にとって知られざる裏ワザ鑑賞と言えるかもしれません。「裏」には、見えない部分だけでなく、奥深く、隠された内部という意味があります。日本美術をより深く愉しめるように、教科書では教えてくれない面白さの一端をご案内します。目に見えていない(=裏)ところにこそ、魅力が隠れている(=裏)かもしれません。”
 

第1章: 空間をつくる

第2章: 小をめでる

第3章: 心でえがく

第4章: 景色をさがす

第5章: 和歌でわかる

第6章: 風景にはいる

 
 
たとえばやきものの景色を360度回って見たらまったく違う新しい景色が見えるかもよ、とか
画のなかに描かれている人物になったつもりでその画を見上げてみたらどんなだろう、とか
(日常においても((あるいは一篇の詩を書くときも))「視点」を変えてみることは意外と重要だし、
無意識のうちにやっていることだけれど)
一服の画を、ひとつの作品を、こうして観方を変え眺めてみるいうのは
思いの外愉しい!!
言われなくとも、いつもそう観られたらいいなぁ。
楼閣山水図の中の小さな登場人物になってみると、
風や木々の匂いまで感じられるようで、ああきっとこの山のどこかにも
金木犀が咲いているに違いないと思えたり。
(山水図の中の人物になっている、というような小説が倉橋由美子にある)
 
「心でえがく」では、激カワ!なお猿さんや鼠さんの物語絵巻で室町時代の「Fantasy」を感じ(笑)
「和歌でわかる」では、なんて素敵な歌なの!と詩心を甦らせたり。
 
これは石工を描いた画に添えられた歌。
「飽かず思ふ 春の心の 鏨あらば 石にも花を 切りつけて見む」
 意)私たちはいつまでも春を楽しんでいたいので、同じ心を持つ鏨を手に入れて、永遠に散らない花を、石の表面に刻み込みたいのです。
 
同じ心を持つ鏨(たがね)!!石工の腕だけではだめなのです、道具も大切であります、
ということですね。芸術家の謙虚な姿勢。
ああそして永遠に散らない花を求めるのはいつの時代でも同じ心。
 
 
この展覧会は撮影OKだったので、いつもそれについては文句を言っている私も、
かわいいお猿さんや、石工の句を思わず写メりましたわよ。
 
興味の湧いた方はぜひぜひお出掛けくださいな。11月29日までやっています。
サントリー美術館のある東京ミッドタウンは、広い庭もあったり
おいしいお店もたくさん、心地よい時間を過ごせること請け合いです。
楽しい展覧会ご鑑賞の前後に、
オープンテラスのレストランで、ランチやティータイムはいかが?