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梔子の記憶

2021.05.21 2021

散歩の帰り路、よく白百合を買う出店の花屋さんで
梔子の立派な鉢植えに目がとまり、
花と蕾がたくさん付いているのを二株選んでもらい、
夏の香りを攫ってくるような気分で連れ帰ってきた。
ベランダー(※植物をベランダで育てる人)の端くれとしては、
小さめの鉢植えはひとつをつましく愛でるのがよい、
と思ったりするのだけど、
欲張りな私はついふたつ買ってしまう。。
(安かったんだもん)
 
あまり外出しないこの季節、
(だって美味礼讃暴飲暴食しに行けないんだもん!)
ベランダでコーヒーや紅茶やワインを飲んだり
アリーポッターゲームやったり読書したりするのだけど
(「暗闇の囁き」は美しい悪夢のように素敵でした。
 最初に読んだのは昔すぎて新作を読む気分だった)
梔子のいい匂いを、わが陣地に監禁して悦に入っていたら、
なんとなく気持ち悪くなってきて
室内に退散。
ちょっと芳香が強すぎたもよう(笑)。
 
夏の香りは、どこかの路地で通りすがりに感じるのが
よいのでしょうね。
あるいは広い庭の隅で、とか。
そんな理想とは程遠いベランダー生活。
 
そういえば私が「梔子」を詩に閉じ込めたのは
昔々の「舞踏会の手帖」一度きりのような、、気がするのだけど、
記憶力がおさるさん以下なので、他を覚えてないのかも?
 
 十六夜の木陰で 
 抱かれて踊れば
 くちなしのドレスが 
 ブルーに染まり
 
 ひっそりと
 落ちた花に
 眠る 香り
 
梔子はひっそり、落ちないわよ。
ひっそり、黄色く朽ちていくのよ。
でも、だめだめ、この詩は「朽ち」たりしてはいけないの。
すごくロマンティックな曲だもの、
今の私だって同じように書くわ!
 
あ。
落ちたのは、枝からではなく
ドレスから、か…………。
だから「ひっそり」なのよね。
すみません、昔の私。
 
なんてリアリスティックな現在の私!
 
もう一度、バルコンに戻って
梔子の香りにきちんと対峙してきます。。